勘違いした才能(40)

「あの人、さっきラーメン屋さんのところにいた人よね?まだこっち見ている?」
わたしはKさんに小さな声でききました。

するとKさんは、
「全然見てないよ、それに、ちょっと考え過ぎじゃない?」
と、ニコニコしながら言いました。

Kさんはそんなこと全然気にしていないようなのでした。

わたしは気持ちがすっきりしなかったけど、そのときとても美味しいそうなカツ丼が出てきたので、わたしはそのカツ丼を早く味わってみたいあまり、そのことはすっかり頭から消えてしまったのでした。

そのあと、わたしたちは会話もしないで、カツ丼をパクパクと食べました。

「わー明日までなんにも食べなくても大丈夫そう、でしょうKさん?」
わたしはちょっときいたけど、Kさんは何にも聞こえなかったようにもくもくと食べていました。

その姿は
(まさか、ウサギさん!明日になるとまた食べるのは決まってるんじゃないの?美味しいクッキーとか果物があなたの目の前にあったら我慢できるかな?ははは)
と言いたがっているようにも見えました。

わたしはたっぷり食べたので、お腹がパンパンになり、早く家に帰って横になりたいくらいの気持ちでした。

でも、それではせっかく秋葉原に来たのに、Kさんがかわいそうなので、Kさんがあっちこっちと秋葉原の街を歩き回るのに付き合ってあげました。

いろいろなお店を見て回るとき、Kさんはいつものように目がキラキラと輝いて、まるで天国にいるようにも感じられるんです。

わたしも、もちろん何も買うつもりじゃなかったけど、ただ見て楽しめば良いじゃないかな〜と思ったのでした。

そして、Kさんも満足したので、そろそろ家に帰ろうかな〜と思った時でした。

わたしはKさんといっしょに自然に電気屋さんで流れているテーマソングをハミングしてるに気がついて、思わず笑ってしまったのでした。

勘違いした才能(39)

わたしたちがカツ丼屋さんに入ってみると、お店の中は思ったより狭いのでした。

そして、お客さんはカップルじゃなくて一人で食べてる人が多いようでした。

わたしはそのときなぜか
(まだお腹があまり空いてないし、またあとでこようかしら…)

と思って、Kさんにお店を出るように目配せしましたが、そのとき店員さんの

「いらっしゃいませ〜」

と明るく元気な声が聞こえたので、気持ちが変わって案内してくれた席に座りました。

でも、なかなか注文したカツ丼が出てこなかったので、

「遅いね〜ラーメンは早く出たのに」
とわたしが不満を言うと、

「美味しいものは時間がかかるのさ」
とKさんが言いました。

その時です、わたしは誰かに見られているような視線を感じたんです。

それで、ちょっとお店の中を見回してみると、わたしたちの近くでカツ丼を食べているある人と視線が合ってしまいました。

わたしは緊張して、Kさんに

「ちょっと…あそこに座ってる人がわたしたちを見てるよ」
と囁いたら、Kさんは、

「あなたが可愛いから見てるんじゃないの?」
と笑顔で言いました。

それを聞いてわたしは、もちろんKさんはただ嘘として可愛いと言ったのはわかりましたけど、やっぱり嬉しくなりました。

でも、まだやっぱり強い視線を感じるので、もう一度その人のほうを見ると、その人はどこかで見た人のように感じたんです。

(誰だっけ?わたしを知ってる人かな?)
と思ったら、そのときパッと思い出したんです。

(そうだ!さっきラーメン屋さんの外でお店の中の様子を眺めていたとき、わたしたちの後ろにいた人だ…あの人はさっきわたしたちがラーメンを食べたばかりなのを知っているに違いないわ、わ〜恥ずかしい〜こんなとこでまた会うなんて…)

わたしは胸がどきどきしながらKさんに言いました…
お知らせ


Archives
Categories
みなさんありがとう
QRコード
QRコード
リンクフリー
このページはリンクフリーです。
ご自由にリンクしてくださいね